原価管理とは
1962年の大蔵省(現在の財務省)の企業会計審議会において原価管理は以下のように定義づけられています。
「原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずること」。
原価とは、製品1個当たりにかかった費用、コストのことです。また、これに、生産数量を掛けて、材料費、労務費、間接費なども原価と呼びます。
簡単に言うと、原価管理とは、
1.まず原価のあるべき姿(標準原価)を設定し、実際にかかった原価(実際原価)を計算し、
2.次にその標準原価と実際原価を比較して、その差異を分析し、
3.最後に、差異分析の結果、差異のある所に対して、対策を打つことです。
この原価管理の活動を行うことで、原価を下げることが出来ます。これが原価低減です。
利益=売上―原価ですので、この原価低減により利益額が向上します。企業活動の目的が利益を上げることですので、原価管理は非常に重要です。
上記、原価管理の定義にも見られるとおり、「分析結果を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずる」という経営改善を目的としているわけですが、その原価管理のステップは以下のようになります。
(1)標準原価の設定
ここで設定される標準原価とは、必要な収益を上げるために必要な要件を網羅した理想とする原価です。
(2)標準原価と実際原価の比較分析
ここでは、上記(1)で算出した標準原価と実際にかかった原価を比較します。この際、単に比較するだけでなく、どのような原因・要素によって標準原価と実際原価に差異が生じたかを分析することで、無駄や効率性の問題を把握することになります。具体的には、材料費の単価に差異があったのか、あるいは、材料費の数量に差異が生じたのか、または、人件費の時給(賃率)や作業時間に標準地との差異があったのかを分析することで、どこに問題があるのかを把握します。
(3)分析結果に基づく改善
分析結果を経営管理者に報告し、その分析結果に基づく改善を行うことになります。改善にあたっては、原価管理を行っているため、具体的な数値目標を設定して担当部門に指示を与えることができ、調達価格の見直し、設計変更、工程改善等が行われ経営が改善されていきます。