業種と業態

流通業において、業種とは小売店を取扱商品の種類によって分類したものをいいます。八百屋、酒屋、薬屋、雑貨屋などがその例です。つまり、業種とは「何を売るか」による分け方のことです。一方、業態とは何でしょうか。流通業における業態とは、小売店を営業形態によって分類することを言います。コンビニエンスストア、ディスカウントストア、スーパーマーケット、百貨店などがその例であり、同じものを売っていたとしても、その提供方法が異なります。つまり、業態とは「どのように売るか」による分類です。

日本では、戦後、業種別の小売業が発達してきましたが、最近では、顧客のライフスタイルの多様化に伴い顧客ニーズも多様化し、それに伴って商品やサービスの種類も多様化してきました。顧客の要望も単に「何を買うか」だけでなく、「何を」「いつ」「どのようにして」「どの程度の価格で」買うかを考えて、多様化したそれぞれのライフスタイルにおけるソリューションを商品の提供を通じて求めるようになりました。そのために、単一のカテゴリーの商品しか扱っていない業種店では、顧客ニーズを満たすことが出来なくなってしまいました。

こうしたニーズに対応するために創出されたのが「業態」です。こうして生まれ成長してきたのが、コンビニエンスストア、ディスカウントストア、スーパーマーケットなどでありそれぞれが顧客の持つ生活におけるソリューションを提供してきたわけです。いずれの業態もチェーン化して全国にそのチェーン網を広げ、それに伴って、業種店は大幅に減少しています。

このように業態は、その時代の顧客のニーズに対応するために、具体的な仕組みを作って市場に現れ成長しているのです。その意味においては、現代のデジタルネットワークの進展に伴い、当然、顧客のニーズやライフスタイルも変化するはずですので、その新たなソリューションに合わせた新しい業態が誕生してくるものと思われます。