差別化戦略
先に学んだコストリーダーシップ戦略が、他社と同じものを安いコストで生産する戦略であるのに対して、差別化戦略とは、他社にはない特徴を持つ製品やサービスなどを提供することで、競合他社とは違うエリアで競争する戦略です。つまり、差別化戦略とは、「競争しない競争戦略」の手法と見ることができます。差別化は製品の機能や技術的優位による場合もあれば、サービスやブランド・イメージによって確立される場合もあります。同業他社の模倣をどう阻止するかがポイントです。
差別化戦略は、製品やサービスの基本機能(1次機能)を強化することで差別化を図ることは勿論ですが、競争優位を確実に保つためには、基本機能(1次機能)+2次機能を強化することで差別化することが大切です。基本機能(1次機能)を強化するには技術開発力を強化することで独創的な競争優位を築くことが大切ですが、基本機能(1次機能)だけで長期間にわたり競争優位を確保することは困難です。そこで2次機能を強化することで長期間にわたる差別化を実現することが必要になってきます
たとえば、アサヒビールが「スーパードライ」という味の基本機能で差別化し、優位性を築きましたが、マーケット・リーダーのキリンによるドライ陳腐化政策により一時、その勢いを失いかけました。そこでアサヒビールがとった戦略は、2次機能を強化することで差別化を継続させることでした。このときの2次機能は、鮮度重視の配送システムやマスメディアを使ったブランド力の強化でした。
このように差別化戦略は、技術革新による基本機能(1次機能)の強化に加えて2次機能を強化することで差別化を持続させることが大切です。また、差別化とは「顧客がその特徴・違い」を識別することであり、企業側が身勝手に考える差別化では市場で受け入れられません。