三つの競争基本戦略の考慮すべきリスク
これまで、三つの競争基本戦略を見てきましたが、これら三つのどの戦略を採用するにしても、それぞれ以下のようなリスクを考慮して戦略立案すべきです。
1.コスト・リーダーシップ戦略をとる際のリスク
- 概して多額の設備投資資金がかかり、設備負担に対処するリスク
- コストへの過度な注力で品質に問題が生じるリスク
2.差別化戦略をとる際のリスク
- 競合の模倣により、顧客から見て差別性が感じられなくなるリスク
- 差別化によるプレミアムを考慮するあまり、競合との価格差が拡大するリスク
3.集中化戦略をとる際のリスク
・セグメンテーションの不備によって、ターゲット市場と全体市場が一致してしまうリスク
競争戦略とは、最大限に活用できる自社の資源、あるいは競合他社の戦略を勘案して三つの競争戦略のいずれかを選択し、そこに経営資源を集中投下することで、競争優位を築くことです。日本の企業においては、概して、競争戦略のコンセプトが不明確で「すべての相手にすべてのものを提供」していこうとする傾向が強く、有効な競争戦略を採用しているとは言いがたい状況です。強みを明確にした競争戦略構築が望まれます。日本のこれからの競争戦略は、大手であってもコストリーダーシップ戦略から差別化戦略へ転換し日本でしか創れない「高付加価値商品」を創り出すことで差別化すべきです。中小企業にあっては、明確な市場セグメントを見つけ出し、そこに集中的に差別化する戦略をとるべきです。